老化も病気も対策は腸がポイントだった… 医師が教える「体をサビさせない」新腸活

順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏は、「腸内環境が劣悪になると、活性酸素だけでなくアンモニアなどのさまざまな有害物質が腸から血液中へ吸収され、血流を通じて全身にばらまかれる」といいます。ではどうやって改善すればいいのか。腸の専門家である小林氏が、対・活性酸素に特化した「サビない腸活」を提案します。
*この記事は『60代からは体の「サビ」を落としなさい』から抜粋したものです。
腸がサビを生む大もとだった!
「腸」と「活性酸素」。このふたつのワードを並べてみて、「いったい、どういう関係があるんだろう」と不思議がる人は多いかもしれません。
しかし、この両者には非常に深いつながりがあるのです。
むしろ、両者のつながりこそが健康のカギを握るといってもいいでしょう。いかに腸への活性酸素の影響を抑えるかが、体のサビを防ぎ、老化や病気を防ぐ決め手になるのです。
そもそも、わたしたちの腸のもっとも大切な役割は、食物から栄養やエネルギーを吸収することです。腸管に入った内容物中の栄養は、腸壁から血液中へ吸収され、血流に乗って全身を回ります。そして、その血液に含まれる栄養が全身の細胞へ行き渡り、体の材料やエネルギーとして使われていくわけです。
ただ、そこで考えてみてください。
もし、腸の中が活性酸素だらけだったとしたらどうなるでしょう。
当然、活性酸素などの有害物質も栄養と一緒に血液中に吸収されて全身を回ってしまいますよね。そうしたら、体中の細胞に〝毒〟が回って、サビつきによる老化や病気がいっそう加速してしまうかもしれません。
残念ながら、これは想像上の話ではありません。じつは、腸の中は活性酸素の一大発生源なのです。
たとえば、暴飲暴食が続いたり、便秘や下痢が長く続いたりすると、腸内環境が悪化しますよね。すると、有害菌が増殖して有害な物質(アンモニア、硫化水素、インドール、スカトールなど)を大量につくり出すようになります。活性酸素はそうした有害物質を無毒化するために駆り出され、ぞろぞろと腸内に集まってくるというわけです。
腸内環境が悪い状態が続くと…
そして、問題なのはここから。腸内環境が悪い状態が続くとどんどん活性酸素が増えてきて、過剰発生した活性酸素が腸の細胞や腸内細菌をさかんに攻撃するようになるのです。そうすると、ますます腸内環境が悪化して、ますます活性酸素が増えるという悪循環に陥ってしまいます。
さらに、腸内環境が劣悪になると、活性酸素だけでなくアンモニアなどのさまざまな有害物質が腸から血液中へ吸収され、血流を通じて全身にばらまかれることになります。こういった有害物質は、届いた先の臓器や細胞においても新たに大量の活性酸素を呼び込むことになりますから、そうこうするうちに、全身いたるところで活性酸素が悪さを働くようになっていくのです。
決して他人事ではありません。脅かすわけではないのですが、腸の中を「活性酸素だらけ」にしていて、知らず知らず腸から全身へ〝毒〟をばらまいている人は、かなりたくさんいると思ったほうがいいでしょう。少なくとも普段からおなかが弱かったり便秘気味だったりする人は、自分の腸が〝体をサビつかせる大もと〟になっていると考えたほうがいいと思います。
では、いったいどうすればいいのか。
もちろん、「腸活」をがんばって腸内環境を回復させていくことが大事なのですが、普通にがんばっていても効果は薄いかもしれません。
それというのも、活性酸素を減らして腸内環境を改善させていくには、サビを抑えることに特化した腸活を行なう必要があるからです。
いうなれば「サビない腸活」です。
水素の力を最大限に活用する「サビない腸活」
狂暴で厄介者の活性酸素にも、「苦手とする存在」がいます。抗酸化酵素のSODについては先にも触れましたが、じつはSOD以外にも厄介者たちが大の苦手としている存在がいます。
それが「水素」です。
よく知られるように、水素はこの地球上でもっとも軽い、無味無臭の気体です。この水素は活性酸素を中和して無毒化する働きがあり、活性酸素の中でも狂暴なヒドロキシラジカルでさえたちどころに消去してしまうほどの抗酸化力を備えているのです。このため、すでに病気や老化の予防やさまざまな疾患の治療に水素を利用する試みが始まっています。
つまり、これから紹介する「サビない腸活」は、水素の力を最大限に活用して活性酸素がのさばるのを防いでしまおうという作戦。おなかの中に水素を出すようにしていくのが、腸内の活性酸素を減らして腸内環境を回復させるいちばんの早道だというわけですね。
もっとも、腸内の水素は、「何かを飲んだり食べたりすればすぐに増える」というような単純なものではありません。
たとえ何かを摂取して水素が増えたにしても、一時的に効果が出るだけではほとんど意味なし。老化や病気のリスクを減らして、よりたしかな健康を手に入れていくには、腸内の活性酸素発生を根本的かつ永続的に減らせるような「水素が増える環境」を定着させていかなくてはなりません。
そのためにまず変えなくてはいけないのが「腸内細菌」です。
じつは、腸内の水素を産生しているのは一部の腸内細菌であり、それらの腸内細菌は「水素産生菌」と呼ばれています。
だから、「どういう食事をしていれば水素産生菌を増やせるか」「腸内に水素を多くするにはどういう生活習慣を身につければいいか」といったことをしっかり学んだうえで長期的に実践していく必要があるのです。これらをちゃんと身につけていけば、腸内の環境を〝活性酸素優位〟の状況から〝水素優位〟の状況へと変えていくことができるでしょう。
つまり、それを実現するのが「サビない腸活」なのです。
私は、この腸活を行なうのが、老化や病気の進行を防ぐもっとも確実でもっとも手っ取り早い手段なのではないかと考えています。ぜひみなさんも習慣づけて、腸の中から体のサビつきを阻止するようにしてください。
短鎖脂肪酸は腸内細菌がつくり出すスーパーマン
腸内細菌という〝臓器〟を健全に動かしていくうえで、ぜひ覚えておいていただきたい存在があります。
それが「短鎖脂肪酸」です。
腸の健康を守るうえで、短鎖脂肪酸はいま最注目の物質。いったい何者なのかというと、食物繊維などの難消化性の食べ物を摂取した際、それらを腸内細菌が分解するプロセスで生み出される有機酸のことです。
短鎖脂肪酸には複数の種類があり、代表的なのが「酢酸」「プロピオン酸」「酪酸」の3つです。酢酸といえば、イコール「お酢」ですので、腸内細菌によって生産される「お酢の仲間」くらいに考えておけばいいでしょう。
では、この短鎖脂肪酸は腸内でどんな役割を果たしているのか。
これがスゴイのです。短鎖脂肪酸は「腸のエネルギー源になる」「腸内細菌を増やす」「腸の蠕動(ぜんどう)運動を高める」「腸内フローラの働きを高める」といったように腸全体を活気づけるほか、腸壁粘膜のバリア機能を高める役割も果たしています。すなわち、短鎖脂肪酸が機能していれば、リーキーガット症候群を防ぐことにもつながるわけです。
腸内細菌が生み出すスーパーマン的存在」
また、短鎖脂肪酸の働きは腸内だけにとどまりません。腸粘膜から吸収された短鎖脂肪酸は、血液とともに全身を巡り、体のあちこちで発生している炎症を抑制したり、体内の脂肪細胞に作用して脂肪燃焼効率を高めたりもしています。
このように、健康を内側から支える任務をたくさん果たしているわけで、まさに短鎖脂肪酸は「腸内細菌が生み出すスーパーマン的存在」といっていいのではないでしょうか。
そして、ここから先が重要なのですが、じつは、この短鎖脂肪酸がつくられる過程で「水素」が発生することが分かっているのです。
水素に活性酸素を消去する強力な抗酸化パワーがあるのは先述した通りです。 つまり、腸内細菌が短鎖脂肪酸をどんどんつくり出すような環境が整っていれば、自動的に水素も多く発生するようになり、その水素が活性酸素の害を除去してくれるということ。そうすれば、活性酸素につけ入るスキさえ与えず、腸は活発に動き、腸壁のバリアもしっかり保たれ、日々すばらしいコンディションで健康を向上させていくことができるようになるのです。 もっといえば、普段から腸内で短鎖脂肪酸と水素がつくり出されてさえいれば、わたしたちは活性酸素の攻撃に打ち勝って、「サビない人生」を歩んでいくことができるというわけですね。
「水溶性食物繊維+お酢」で短鎖脂肪酸をアップ

それでは、いったいどうすれば腸内にたくさん短鎖脂肪酸をつくり出し、たくさん水素を発生させることができるのでしょう。
もちろん、これは日々どんなものを食べて、どんな腸内細菌を増やし、どのような腸内環境をキープするかにかかっています。
まず、短鎖脂肪酸ですが、これを増やすには、とにかく食物繊維をたくさん摂ることです。野菜、きのこ、海藻、納豆などを毎日積極的に摂取するようにしてください。これらの食物繊維は腸内に長くとどまって、余分な糖や脂肪を吸着しながら発酵します。その発酵した繊維が有用菌のエサとなり、これによってさかんに短鎖脂肪酸がつくり出されるのです。そして、短鎖脂肪酸がつくられる生産過程で水素も発生することになるわけですね。
なお、食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」とがあり、こと短鎖脂肪酸を増やしたいのであれば、水溶性にウェイトを置いて摂るのがおすすめです。水溶性食物繊維にはキャベツ、にんにく、玉ねぎ、オクラ、ヤマイモなどの野菜類のほか、きのこ類、海藻類、それに、豆類、納豆、アボカドなどが挙げられます。
また、食べ方としては、酢をうまく活用するのがいいでしょう。お酢(酢酸)は短鎖脂肪酸そのもののようなものであり、これを口から摂取することで腸内の短鎖脂肪酸をいっそうパワーアップさせることができるのです。ですから、酢キャベツ、酢玉ねぎ、もずく酢、わかめ酢、なめこ酢、ピクルスやマリネといったように、水溶性食物繊維をお酢とともに食べれば、まさに「最強タッグ」の組み合わせになるのではないでしょうか。納豆にもじつは酢をかけて食べるのがおすすめです。
参考:東洋経済
老化も病気も対策は腸がポイントだった… 医師が教える「体をサビさせない」新腸活
https://toyokeizai.net/articles/-/893568?display=b



